鷹岳山曽我寺の宗派は曹洞宗、曽我兄弟の墓所・菩提寺として名高い。兄弟が仇討ちを成し遂げた
井出の狩宿 (別窓) から15kmほど南、JR身延線の入山瀬から300mほど
に位置する。すぐ裏手を流れる凡夫川は1kmほど南西で仇討ち現場の井出から流れ下って来た潤井川と合流する。
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凡夫川の対岸で兄弟の供養をしていた福泉寺が元の姿で、600年ほど前の南北朝時代に発生した大洪水で流失した後に現在地に再建された。天明の頃(1781〜1788)に
曽我寺と改名し現在に至っている。元々の位置は明らかではないが、約500m上流の低地で小さな河川が合流する付近、「五郎の首洗い井戸」と伝わる場所に近い辺りか。
この井戸が五郎斬首の場所だと伝わっているから供養をした福泉寺もその近く、現在の凡夫川西岸にある
一乗寺 (日蓮宗) 付近じゃないかと。いずれ曽我寺で聞いてみよう。
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寺伝に拠れば兄弟の遺骸は鷹岡の地で荼毘に付され、一周忌法要を
箱根権現(別窓)で済ませた後に養父の
曽我祐信・生母の
満江・叔父の
三浦義澄(父
河津三郎の妹の夫)・
和田義盛(遠い従兄弟)の手で鷹岡に埋葬されたという。二人の首の方は鄭重に清められ、宇佐美禅師が曽我へ持ち帰って埋葬した、とも言われている。
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時代は判らないが、曽我祐信の館跡から若い男性の骨を納めた骨壷(もちろん兄弟の遺骨である確証なし)が見付かり、それを
曽我城前寺(別窓)の土塁にある墓に埋葬したとの
話もあるから、どちらをどこまで信じて良いものやら。
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右:曽我寺周辺iに点在する兄弟所縁のスポット 画像をクリック→拡大表示
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【 吾妻鏡 建久四年(1193) 5月29日 】 十郎祐成討死の翌日
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頼朝 が狩野介(宗茂?)と 新田忠常 を介して夜討ちの目的を糺すと五郎は怒って「祖父祐親の死以後の一家は零落したが、汝ら(狩野介と新田忠常を差す)に伝えてもらう謂れはない。直接言上するから退け」 と。
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そして頼朝に向かい、「祐経を討ったのは父を殺された恨みを晴らすためである。兄の祐成が9歳で自分が7歳の時から片時も恨みを忘れなかったが、やっと宿願を果たす事が出来た。頼朝宿舎に向ったのは、祐経を寵臣として遇していたのみならず、祖父の 伊東祐親 が受けた処遇の恨みがあるため、それを申し述べてから自殺するためである」と。
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聞く者は悉く驚嘆した。次に新田忠常が祐成の首を五郎に見せ、相違ないことを確認した。頼朝は五郎の勇気に感動して罪を許そうかとも考えたが、祐経の幼い嫡子(犬房丸、後の 伊東祐時)が泣いて懇願したため身柄を引き渡した。鎮西中太という者が直ちに首を斬った。
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【 曽我物語 巻十 「五郎が切らるる事」 】.
工藤祐経 の弟・伊豆二郎祐兼が五郎を預かり(中略)松崎という場所の岩間に引き据えて斬った。(中略)その後に兄弟の郎党・鬼王と道三郎が形見の小袖などの遺品を
曽我に届け、祐信と満江が涙で追善供養を催した。祐信は「幼少の頃から実子と区別なく育てたのだが、所領が狭いため分け与える土地もなく勘当してしまい今更に後悔
が尽きない」などと嘆いた。.
おいおい、元服の費用も出さなかったケチ親父が今更なにを...と思うけど、箱根権現で出家する筈だった五郎の元服を祐信夫婦が許すのも理屈に合わないし。
満江が元服を許さなかったのは怨恨の連鎖で二人の息子まで失うのを恐れたから、だろう。問題は「所領が狭いため...云々」の弁解が事実か欺瞞か、だね。
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松崎とは何処なのか、なぜ兄祐成が死んだ井出の狩宿から15kmも離れた場所で斬った理由は何か、屍骸の胴はどうした(シャレじゃないよ)のか、荼毘に付して首だけ
別に曽我に運んだのか、などなど...基本的な問題が山積みである。とりあえず、兄弟の位牌がこの曽我寺に伝わっている事と、ここの墓石が如何にも古色蒼然と加工
している事を頭に入れておこう。
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兄・
十郎祐成の辞世
たらちねは 斯れとてしも 育てけん 露けき野辺の 土となる身を
弟・
五郎時致の辞世
思はれよ 花の姿を 引替へて あらぬ形見を 残すべしとは.
どちらも曽我の母に送った遺書に記載してあったとの事。
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祐成の愛人 虎御前の歌
露とのみ 消えにし跡を 来てみれば 尾花かすえに 秋風ぞ吹く
時致の愛人 化粧坂少将の歌
捨つる身に なほ思ひ出と なるものは 問ふにとはれぬ 情なりけり (薩摩守忠度を討った武蔵国の
岡部忠澄(小野氏流岡部)とは別氏族)の建立による。岡部泰綱がどんな経緯で所領から50kmも離れた鷹岡に
神社を建てたのか 判らないが、社伝では明和二年(1765)に宝物の
頼朝 赦免状や虎御前の八陵鏡を開帳した金で社殿を修復している。
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江戸末期の紀行文にも 「曽我八幡には頼朝が時致に与えた書状や夜討ち前夜に書いた辞世の肉筆、虎女の持っていた八角の鏡がある」と
載せられている。いずれも現存はしていないため真偽は確かめられない。